MakinoYo

FREELANCE JOURNALIST

官報複合体(文庫本)
権力と一体化するメディアの正体

(単著)2012年出版の『官報複合体』(講談社)が文庫版になり、2021年に河出書房新社から新たに出版となりました。大幅に加筆・アップデートするとともに章立てなどを再構成し、内容を一新しました。伝統的メディアからネットメディアへの大転換が起きるとき、旧態依然の「マスゴミ」と決別して本物のジャーナリズムを確立する――ここに本書のミッションがあります。

福岡はすごい
なぜ「勝ち組」になれたのか

(単著)カリフォルニアに5年間住んだのに続いて、福岡に3年間住み「カリフォルニアと福岡は似ているな」と思っていたところ、イーストプレスから「福岡について新書を書きませんか?」と打診されました。すぐに「やります!」と返事し、「福岡=アメリカ西海岸」という視点で書き上げたのが本書です。書き下ろしなので大変な面はありましたが、これほど楽しい取材は久し振りでした。少子高齢化のなかにあって人口増加率で日本一、「住みやすい都市」の世界ランキングでも上位常連の福岡。そのポテンシャルに迫ります。

米ハフィントン・ポストの衝撃
メディアのあり方を変えた

(単著)「最強のインターネット新聞」ハフィントン・ポスト(ハフポスト)についての本です。同サイトは営利のネットメディアとしてピュリツァー賞を初受賞、2013年5月には日本版をスタート。共同創業者アリアナ・ハフィントンとのインタビューはもちろん、もう1人の共同創業者ケネス・レラーの講演記録も収録しています。既存メディアのアンチテーゼとして生まれたハフポストが日本のメディア界に新風を吹き込むかどうか。

共謀者たち
政治家と新聞記者を繋ぐ暗黒回廊

(共著)自民党・河野太郎氏との対談を基にしてまとめました。対談が実現したのは、もともとメディア問題に造詣が深い河野氏が前作『官報複合体』を読み、気に入ってくれことがきっかけです。本書を読めば分かると思いますが、河野氏はボランティアで「調査報道」を実行しています。

官報複合体(単行本)
権力と一体化した新聞の大罪

(単著)日米の報道現場を比べながらジャーナリズムについて書いたノンフィクション。権力監視型ならぬ権力癒着型の報道が蔓延しているとの認識から、「軍産複合体」をもじって「官報複合体」という題名にしました。20年以上にわたって温めていたテーマです。日本のメディアに批判的な立場ですが、ジャーナリズムを愛しているからこそです。

不思議の国のM&A
世界の常識・日本の非常識

(単著)外資脅威論が吹き荒れてM&A(企業の合併・買収)法制がゆがんだり、買収価格を決めないままでM&Aが成立したりする――こんな不思議がまかり通る現状を浮き彫りにしました。オリンパス事件などの背後には日本株式会社の構造問題があるのです。さまざまな制約から新聞紙面上で使えなかった取材メモも本書の中で存分に取り込みました。

最強の投資家バフェット

(単著)最初の単著。世界一長者のウォーレン・バフェットとのインタビューのほか、コカ・コーラ、ウォルト・ディズニー、マイクロソフトの経営トップをはじめバフェットと親しい経営者への取材に基づいてまとめました。元となった単行本は1999年出版で、当時は日本でバフェットの存在はあまり知られていませんでした。9刷まで増刷。

株主の反乱
重役たちが裁かれる日

(共著)日経新聞証券部の同僚2人と一緒に書いた共著。全5章のうち第1章(株主代表訴訟)と第5章(企業統治)を執筆。1993年出版で、アメリカで当時発表された学術論文の中で「日本の株主代表訴訟をテーマにしたパイオニア的作品」として引用されました。会計基準や企業監査も詳細に取材、「日本企業のガバナンス」の構造問題を提示しています。

私の履歴書
人生越境ゲーム

(関連書)経済学者である青木昌彦・スタンフォード大学名誉教授の自伝。私の著作ではないですが、自伝執筆に協力したので「関連書」として挙げておきます。同教授は学者でありながら波瀾万丈の人生を送っており、同教授にインタビュー中、若き学生運動家としての人脈が私の父と共通することが判明し、私にとっても「家族再発見の旅」になりました。

知の巨人
ドラッカー自伝

(訳書・解説書)他界する直前の2005年2月、経営学者ピーター・ドラッカーが日経新聞で「私の履歴書」を連載。それを土台にして本書は出版されました。私は2週間に及ぶインタビューのほか、自伝出版に際しては解説、年表などを担当。ドラッカーの入門書として最適です。日本語版のみのドラッカー本は本書だけという意味で、「訳書」ではなく「原書」です。

Troublemakers トラブルメーカーズ
「異端児」たちはいかにしてシリコンバレーを創ったのか?

(訳書)本書を一言で表現するとすれば、「プロジェクトXのシリコンバレー版」です。本書の主人公は情熱あふれる無名のアメリカ人であり――全員で7人――シリコンバレーの事実上の生みの親。「シリコンバレーの見えざるヒーロー」と言い換えてもいいでしょう。本書との出会いは福岡。『福岡はすごい』の取材・執筆を始め、シリコンバレーの歴史を振り返る必要があると思って本書を読んだのです。数年後に妻からも「めちゃくちゃ面白いよ」と薦められました(妻は私がすでに同書を購入してい読んでいるとは知りませんでした)。妻が面白いと言うならば翻訳する価値があると思っていたところ、「出版界のイノベーター」ディスカヴァー・トゥエンティワンの編集者に出会えました。

マインドハッキング
あなたの感情を支配し行動を操るソーシャルメディア

(訳書)誰もが「まさか」と思っていたトランプ大統領誕生とブレグジット国民投票可決。それを背後で演出したのが軍事下請け業者ケンブリッジ・アナリティカ(CA)であり、CA内でキーパーソンの立場にあったのがクリストファー・ワイリー氏です。本書は同氏による内部告発本であり、何千万人もの有権者がフェイスブック上でどのように「洗脳」されたのかを浮き彫りにしています。軍事心理戦を舞台にした小説を読んでいるかのような錯覚に陥ります。同氏の文章力・観察力が光っています。私は一時期NPO「ファクトチェック・イニシアティブ(FIJ)」の活動に深く関わっていただけに、新潮社からの依頼を二つ返事で引き受けました。

NETFLIX
コンテンツ帝国の野望

(訳書)本書は、動画配信サービスで世界最大手に成長した米ネットフリックスの誕生物語です。ベテランジャーナリストが共同創業者2人も含めて主要人物に密着取材したノンフィクション本で、米書評誌からは「調査報道とサスペンススリラーの見事な合体」と高く評価されています。同社創業期を知るうえでは決定版でしょう。本書の翻訳依頼を受けたとき、私は躊躇なく飛び付きました。アメリカ在住(2008~13年)時代からネットフリックスを愛用し、同国のデジタル革命を日常生活の中で身をもって体験していたからです。引き受けないわけにはいきませんでした。

STARTUP(スタートアップ)
アイデアから利益を生み出す組織マネジメント

(訳書)コロンビア大やUCLAなど全米70校で採用されるアントレプレナーシップの教科書です。最大の特徴は小説形式で書かれていること。脱サラして起業した主人公オーエンの物語を読みながら読者は起業を自ら”体験”するのです。男女の恋愛ゲームや世界ポーカー選手権といった要素が散りばめられているため、教科書としての堅苦しさを感じずにすらすら読み進めることがきます。個人的には小説を訳すのは初めてで、楽しい作業でした。

座らない!
成果を出し続ける人の健康習慣

(訳書)著書累計600万部以上のベストセラー作家でビジネスコンサルタントのトム・ラス氏の著作。一見すると「健康本」ですが実態は「人生の指南書」といえます。私自ら出版社に翻訳を勧め、そして自ら翻訳を引き受けた本でもあります。経済・金融・メディア関連とは無関係の唯一のプロジェクトですが、人生観が変わるほど影響を受けました。

ビジョナリー・カンパニー4
自分の意志で偉大になる

(訳書)現代を代表する経営学者ジム・コリンズの最新作。いまは亡きピーター・ドラッカーを尊敬し、「ドラッカーの後継者」ともいわれるコリンズ。私は幸運にもコリンズとドラッカーの2人それぞれに何度かインタビューする機会に恵まれ、翻訳を担当できました。本書に書いた解説はオンラインで読めます。http://nkbp.jp/PfTPkc

ランド
世界を支配した研究所

(訳書)数十人ものノーベル賞受賞者を輩出した「最強のシンクタンク」の話です。ゲーム理論、合理的選択理論、フェイルセーフ、システム分析、インターネット誕生などに興味がある方は必読。ランド本部は、私が住むクレアモントから車で1時間の高級リゾート地のサンタモニカにあります。「知識創造にはこんな環境が必要なのか」と思ってしまいます。

市場の変相

(訳書)巨大債券ファンドである米ピムコの経営トップが書いた本です。フィナンシャル・タイムズ紙の「2008年度最高のビジネス書」を授賞。「大恐慌以来の危機」が発生しているさなかに、「大恐慌以来の記事」を予言していた本書を翻訳する格好になりました。前の前で展開するドラマをリアルタイムで実体験しているような臨場感を味わいました。

バフェット
華麗なる流儀

(訳書)「100年に1度」といわれる2008年経済危機について、「最強の投資家」ウォーレン・バフェット的価値観で解説した決定版。「バフェット本の翻訳はいつかやりたい」と思っていたところ、本書翻訳の依頼がありました。デリバティブなどの専門用語がたくさん出てきますが、心配無用。本書はリズム感のある文体と人間ドラマの面白さで光っています。